【不思議な話】撃ってはならない熊

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宗教に出てくるような神様が仮に本当にいたとして、その様な存在ってそれを信じる人達がいればこそであって、その存在を強く願う人達のエネルギーによって実在できている、実は持ちつ持たれつな関係なんじゃないか?などと、罰当たりな事を、不意に考える時があります。

妖怪と呼ばれる物なんかも同じ理屈で存在していて、結果としてそれを作り出しているのは人間の恐怖心や、何かしらの強い思い、イメージであり、そのため、人知を超えた存在のわりに、どこか人間臭い容姿や生態をしているのでは?なんて事も思ってみたり・・・・
(ただの気まぐれな思いつきなのであしからず。)

と同時に、こんな事を考えてみたりもします。
宗教上の神様や、妖怪などとは別に、動物(生物)として物理的に存在しながら、神として認識されている存在の話ってありますよね。
いわゆる、山の主とか池の主とか言われている「主(ヌシ)」と呼ばれる物です。
この様な物はどのような理屈で存在しているか?・・・

今回はこの様な存在の話です。

俺が中学生の頃、列車で会って仲良くなった
ご老人から聞いた話を書き込ませて頂きます。

ご老人の住む村は「マタギ集落」と呼んで良いぐらい、多くのマタギが住んでいます
(今現在は、どうなってるか分かりませんが)。

山の事に精通し、大きな熊と相対するマタギは度胸も人並み以上なのですが、そんな彼等でも怖れる存在があって、それは「普通と違う熊」なのだそうです。。

普通と違う熊というのは三種類ほど居て、それぞれに名前があったと思いますが、「全身真っ黒な熊」「全身真っ白な熊」「通常のサイズより、ずっと大きな熊」なんだそうです。

信心深いマタギ衆の方々は、それらを山の神様の化身として畏れ崇めていて、山で出会っても絶対に撃ってはいけない、万が一仕留めてしまった場合は、マタギを辞めなければならないとの事です。

そう話した上で、お年寄りは自分の村で起きた話をしてくれました。

彼の村にはその昔、一郎さん(仮名)という方が居ました。村でも指折りの、かなり腕の立つマタギだったそうです。

ある日の事、一郎さんが仲間と共に山へ行くと、ちょうど良い所にツキノワグマが居ましたので、すかさず仕留めました。

喜び勇んで仕留めた熊に駆け寄った一郎さんですが、熊の胸元を見て、彼の顔色がサッと変わりました。

ツキノワグマなら胸元に必ずある筈の、白い模様が無かったのです。

「そんな馬鹿な。必ずどこかに、白い毛がある筈だ」

と必死に探す一郎さん。

しかし、ただの一本も白い毛は見つかりませんでした。

結局彼は掟に従い、マタギを辞めました。

マタギを辞め、農業に精を出す事にした一郎さん。
暫くは新しい仕事も順調で、何事もありませんでした。

ですが暫くすると、妙な事が起き始めました。

一郎さんが夜、家に居ると何やら臭いがして息遣いも聞こえる。

元マタギの一郎さんは、すぐにそれが熊のものであると分かりました。
しかし、家の中や周囲を探しても熊は居ない。

また、ある時は一郎さんの畑にだけ、熊の足跡が沢山残されていた事もありました。

別の日の夜、彼が夜道を歩いていると後ろに気配する。

振り向くと、そこには仁王立ちになった熊が。

胸元には白い模様が無い。あの熊だ…。

こんな事が続いて、一郎さんはすっかり人が変わってしまいました。

恐怖を払拭する為かお酒の量も増え、酔うと延々、あの熊の話をする。

「アイツは俺を許してないんだ。俺はいつか、必ずアイツに殺される」

そしてとうとう、最悪の事が起きます。

ある日の夜、やはりお酒を飲んで酔っていた一郎さんは、何やら訳の分からない事を叫んだかと思うと外に飛び出し、そのまま居なくなってしまいました。

村の人達は手分けをして探しましたが、一郎さんは影も形もありません。

しかし数日ほどして、村のすぐ近くを流れる川で釣りをしていた子どもが、一郎さんの遺体を発見しました。

見つかった一郎さんは川岸の岩に腰掛けて、
一見すると座ったまま眠っているんじゃないか、という状態で亡くなっていたそうです。

また岩の周囲には、熊の足跡と毛が、沢山残されていました。

余談ですが、一郎さんを発見した
「釣りをしていた子ども」が、私に上記の話を聞かせてくれた、ご老人その人です。

本当に熊の幽霊が出たかどうかは分かりません。

けれど一郎さんに付き纏う「熊の影」は、多くの村人も見ていたそうです。

そうなると、やはり山には人間の知識や常識が通用しない、何かがあるんじゃないか、と思えてきます。
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話part76∧∧

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